2025.08.11

帰りの飛行機は非常口付近の座席だった。LCCの安いチケットで座席指定はしていなかったので自分で選んだわけではないのだけど、わたしはなぜかこの座席に割り振られることが多い。おそらく連れがおらず年齢的にもちょうど良いということなんだろう、そう考えると40代に入ったらこの座席にあたることはぱったりとなくなるのかもしれない。ともあれ足を伸ばして伸ばして伸ばしても前の座席まではまだ余裕があり、たいそう快適。足を曲げたり伸ばしたりしてストレッチをしたりしているので隣のひとたちはきっと鬱陶しいだろう(わたしは右隣の女性が指先に前髪をくり返しくるくると巻きつけているのがやや気になっている)。

北海道、5泊6日。ほとんどひとりになる時間がなく、久しぶりにひとと一緒に長いこと時間を過ごした。それから大規模な集団行動にも参加した。和歌山を出てまたひとりで暮らすようになって、他者に合わせるということがほとんど必要のない生活を送っているわたしにとっては新鮮な体験だった。自分がどういうことを心地良いと感じ、逆にどういうことに居心地の悪さを感じるのか、そういうことを観察する良いきっかけになった。

ずっとゆっくり話してみたいと思っていたひと、久しぶりに会えた夫妻、存在はずっと知ってはいたけれど初めて挨拶した兄弟、北海道で会ったひとたちは考えてみればみんなミュージシャンで、長いこと音楽なんてものをやっていると否が応でもそういうなかに自分も存在することになるのだな、というかしているということなのだな、そういうことをぼんやり考えた。

この間、久しぶりに会った友人に「ノゾミさんから音楽を引いたらどうなるのか」と言われた。どうなるんだろう、と思っていたんだけど、べつにどうもならない、なるはずもないじゃないか。