2023.02.11 あいまいなまま伸びて膨らんでいくような感じ

少しだけベッドでゆっくりして、それでも8時半過ぎ(たぶん)には起き出して、窓の外のよく晴れた空とところどころ白く雪の残ったいつもと少し違って見える川沿いの景色をぼんやり眺めながらいつもより時間をかけて分厚いノートに3ページ思い浮かぶことをつらつらと書き、それから林檎を剥いて豆乳のヨーグルトにのせて、蜂蜜とシナモンをかけて食べた。少し考えてからシナモンロール風にしたスコーン(いつもシナモンロール風のつもりで作るけれどシナモンロール風に仕上がったことはただの一度もない)をオーブンに入れてからコートを羽織ってスニーカーの靴紐を結んで外に出て、ほんの短い散歩をした。いつもはただ川沿いをずーと歩くことが多いけれど今日は橋を渡りたい気持ちになり橋のところまで登って行ったけれど、橋の上の高いところから川面がきらきらして綺麗なのを見たら満足してほんの10メートルくらいで引き返した。いつかの大雪の日の夜に出掛けて行った帰り道、盛大に転んだことを思い出してあれは去年だっけおととしだっけと思ったけれどわからなかった。

部屋に戻るとスコーンはちょうどよく焼けていて、玄関までふんわりいい匂いがして、わたしはコーヒーを淹れる。ずっとフレンチプレスでコーヒーを淹れているけれど最近はドリッパーが欲しいなと思う。あとで探してみようと思う。コーヒーを蒸らしながら、みたい展示が来月頭までなのでいつ行こうかと考える。あのひとを誘ってみようかと思って、遠くの街で待ち合わせるところを想像する。妄想はいつもとても速く遠くまで走っていく。わたしはそれを止められない。コーヒーとスコーンを持っていきソファーに腰掛けてHenning Schmiedtをかける。わたしはいつか彼のライブをみた、来日していたのだ、あれはもうずいぶん前で、どこか少し離れた美術館だっただろうか、わたしはひとりで出掛けて行きその白くこじんまりした楕円形のホールで彼の演奏を聴いた。

短い散歩からの帰り道にふと頭に浮かんだ江國香織のすみれの花の砂糖づけを本棚から出してきて久しぶりにめくる。わたしはいつかこの詩集について文章を書いたことがある。なんと書いたのだろう。そうしてわたしがいつか約束をすることがあればそのひとにこれをあげようと思う、そうしてそのひとにもなにか一冊わたしに選んで欲しいと、そういうことを思う。

今日はひどく穏やかな気持ちで、やっぱり天候がとても影響しているのだなということを答え合わせした。