2023.10.12
きのうの朝、起き抜けに軒先の椅子に座りぼんやり山の稜線(という言葉がずっと出てこなくて結局いま調べた)を眺めながら白湯を飲んでいれば、懐かしいひとのことが思い出されてこの期に及んでなんでこんなことを思い出すのだろうと思った。そうして過ぎ去った出来事や時間やすべてと同じように過ぎ去った想いのことそしてその戻らなさについて想った。これまでに何度もそうしてきたように。そうして今日は今日で、出掛けた夜の帰り道に車の中でまた別のひととのやり取りや場面が順々に思い浮かんで来て、なんで、とまた思って、なんだか本当に、いつになってもどこにいてもどこまで来ても、なにもなーんにも、ひとつも変わらないなと思ってたちまち気持ちがしゅるしゅるとしぼんでいった。わたしはなにに取り憑かれているのだろうか。わたしを引っ張り続けるこの力の正体はいったい何だろうか。べつにもう抗う気持ちもないのだけれど、それでもやっぱり摩耗はするようなのだった。
夜はとてもとても静かで、今日は音楽もかけずに、ロック用の大きな氷と発泡酒二本だけが入った冷蔵庫の音と、その向こうにさまざまの虫の声だけが聴こえている。この数日は天気が良く、毎晩天の川が見える。きのうはようやく機材のあれこれを電源に繋いで大きな音を出したらとても楽しくてすごく満たされた気持ちでベッドに入って、でも今日はまだ寝るにはずいぶん早いけれど、もうなんにもしたくない。マルシェで買ってきた本でもぱらぱら読もうかな。今年の夏は花火を見るチャンスが二度もあったのに結局どちらも逃してしまったといまふと思って、だけど東京の川沿いのあの部屋から駅まで向かう途中の橋の上から偶然3回も花火を見たのだったわたしはそういえば。