2024.10.05
最近の東京との行き来はもっぱら特急と新幹線を乗り継いでいるのだけど今日は初めて夕方に家を出たので窓の外が暗く、何となく新鮮な気持ち。夜の長距離移動はどうしたってわたしに夜行バスを思わせる。なんだかやたらに夜行バスに乗っていた時期があったな、アコースティックギターと一緒に。たぶんわたしは金髪だったはずだ。あんなにたくさんのバスに乗っていったいどこへ行ったのか、覚えてもいるけれど、忘れてもいる。きっと忘れてしまったことの方が多いんだろう。
窓の外を流れる夜を眺めていると色んなことがだんだん意味合いみたいなものから剥がれていき、なんというか宙ぶらりんのようになっていくなぁ、そうしてますます自分がなにをしているのか、なにをしにどこへ向かっているのか、そういう事ごとの輪郭が曖昧にぼやけていくよう。窓ガラスに映る顔は誰のものなのかよくわからない、よく知っているようにも思うし全然見たことがないようにも思える。誰なんだ。何なんだ。隣の席には黒々として背の高いギターケースが鎮座。通路を挟んだ向こう側の席あたりからなにやら乾き物のにおい。べつにどこにも着かなくてもいいのになと思い、そんなのって子ども染みているんだろうかと思う。夜が深まっていく。