2024.05.08 名古屋 晴れ

在来線特急、4時間かかるけれどこの時間が好きだ。右側の席に座ると海が見えるのでそうしたけれど、あまりに日差しが強いので最初の駅に着くまでに左側の席に移動した。でも結局どちらに座っても同じことだった。映画をダウンロードするということをしたことがなかったのだけど、最近は本もあまり読めないし受動的な気分だから車内でラップトップを開いてみるのもいいかもしれないなんて思ったのだけど車内で観るのに適した映画というのがわからなくて結局文庫本をバッグに二冊入れて、だけどやっぱりそれも開かないまま、音楽を聴きながらぼんやり揺られた。浮かんでくる言葉を、些細だと思えるようなものもなるべくメモをしていたら何だかこの時間がもう少し長く続いたらいいのにという気持ちになって、名古屋から新幹線でなく鈍行で東京まで行ってみようかという考えが浮かんだけれど名古屋に着く頃にはうっすらと疲れていてあぁこれは早く家に、という気持ちになっていた。いつも名古屋ではお弁当を買うくらいで乗り換えるだけなのだけど、今日は少し地面に足をつけて休みたい気持ちになったので駅を出て、すぐ目の前にある喫茶店に入った。静かな店内でたまごのサンドイッチを齧りながら珈琲を飲んでいると大きな荷物を引きずって、ひとつ結びに鉢巻をした男性が入ってきた。店内をぐるっと見回した後しかし席に座るでもなくスマホをいじり始め、店員の女性が水とおしぼりを持って近寄り「お待ち合わせですか?」と声をかけると、目を上げることもなく「うん」とだけ答えた。そうして電話をかける仕草をしながら荷物をそのままに一度店を出た、すると奥まった席に座っていた初老の男性が追いかけるようにして出て行き「◯◯さんですか」と声を掛け一緒に中に戻ってきた。わたしの斜め後ろに座った彼ら、鉢巻の男性は「珈琲ばっかりになっちゃって」と言ってグァバジュースを注文。「僕のこと◯◯さんに何て訊いてますか」「上から数えて5本の指に入るのが僕です」「僕レベルのひとたちが何人も集まるんで一瞬で何十億って動くと思うんですよね」

名古屋はひどく晴れていて着てきたパーカーでは少し暑かったけれど、わたしはどうせほとんど一日冷房の効いた車内にいるのでだからちょうどいいのだった。なんかぼんやり、別に東京に、そんなに行きたいわけでもないよなぁというような、そういう気持ちになって(もちろんライブはとても楽しみだしそれを目指していまこうしているのだけど)、でもだからといって他に行きたい場所が、あるのだろうか、と考えてみれば別にそんなのはたくさんあるよな。