2024.08.28 なまぬるい静寂

三重から帰った翌日、書こう書こうと思いながらずっと後回しにしていた手紙を書いた。一気に3通。友人二人と、それから祖母には伊勢で買ってきた伊勢和紙の葉書で。

一週間ほど出かけて帰ってきたら今度は家のひとたちが出かけて行き、わたしは久しぶりに本当のひとり。例えばこうして文章を書くことも、こんな些細なことでさえも時間が空いてしまうとはじめは少し上手くいかなかったりして、だからひとりでいることも、久しぶりだと少し戸惑う、ような気がしないでもない。なんかちょっとぼーっとしてしまう。なんてことを思うと、引っ越したら一体わたしはどうなってしまうのだろうと瞬間不安にもなるのだけど、でもどうせすぐに慣れる、慣れてしまう、そういうものだよな、とも思う。しかし実際この場所を出てひとりになったらわたしはしばらくはめそめそして暮らすんだろう。それはほとんど確信。

姉が、わたしがいてもいなくても自分はこの場所で娘とふたりで充足しており幸せだというようなことをわたしに言って、そうか、わたしがいることで彼女にとっても少なからず恩恵がありお互いにとって良い選択になっていると思っていたのはわたしの思い上がりだったのか、それは恥ずかしいことだった、と思ったのだけれど、いざ引っ越しの話をしたら急にいつもありがとう助かってるよ、引っ越しするのは春になって暖かくなってからにしたら、なんていうことを言い出して、ずいぶん前に一緒にインドを旅したとき、道中散々わたしに文句を垂れていたくせにいざわたしが帰る段になったら「さみしい」と言ってインドの暗い路上でめそめそ泣き出した、そのことを思い出した。でもなんかこのひとのこういうところが憎めなくて、そういう素直さ率直さがわたしにとっては羨ましくもあるなと思うのだった。

雨が降ったり止んだり。いまは止んで虫の声が響いている。とても、とても静か。