2024.10.28 再開

きのうの夜、台北でのライブを終えてから久しぶりにしこたま飲み、泊まるはずだったホテルの部屋をキャンセルして深夜にタクシーに乗ってまっすぐ空港まで行き、早朝の便であっという間に帰ってきてしまった。ちょうど一週間の滞在ということになるだろうか。今回は台北と台中で一本ずつ、計2本のライブの予定だったのだけれど、みんなの好意で急遽ツアー最終日の台北でのライブにも参加させてもらうことになり3本ライブをして来た。

初めての台湾は2016年、台湾のいちばん南の墾丁という場所で行われるフェスに出演するためにたったひとりで何もわからずに乗り込んでだけど出会うひと出会うひとがみんな順番に助けてくれて、最後は同じフェスに出ていた同世代のバンドと仲良くなってとても充実した楽しい時間を過ごしたのだった。メンバーの連れの子が一眼レフでたくさん写真を撮って送ってくれて、わたしは今でもそれらを記憶とともに宝物のように思っている。以来わたしは台湾が大好き。

二度目は2018年、UHNELLYSのキムさんが台湾と日本のアーティストの合同ツアーの企画に誘ってくれて、日本からはUHNELLYSとGreen Milk from the Planet OrangeというバンドとNozomi Nobodyが参加して、台湾でのツアーと東京でも一緒にライブをした。グリンミルクのメンバーは初対面だったけど、オフの日は一緒に観光をしたり、台南で一緒にライブをした現地のバンドの子とも仲良くなってライブ翌日にあちこち一緒に出掛けたり、このときは自分のフィルムカメラでたくさん写真を撮って気に入っている写真がたくさん残っている。

そうして三回目。台湾に行きたい行きたい行きたいと思っていたので、春過ぎ頃に2018年の台湾ツアーをブッキングしてくれたDanに連絡したらちょうど企画していた他のアーティストのツアーにわたしも入れてくれることになったのだった。考えてみればツアーと呼べるようなものも随分と久しぶりで、年齢もジャンルもバックグラウンドもバラバラの人たちが集まって連日一緒に演奏をして酒を飲んで、ああツアーだ、と思った、楽しかったな。台中のライブには前述の墾丁のフェスで仲良くなった友達たちが連れ立って観に来てくれて実に8年ぶりに再開して、そのことがとてもとても嬉しかった。彼らとはなんとなく勝手にまた会えるだろうと思っていたけれどよくよく考えてみたらとても有り難いことだなとあとから思う。今回はMellow Colonyというシンガポールのバンドが一緒で、沢山の時間を過ごした。みんなfunnyでsweetで、ライブもとても良くてわたしはすっかり彼らのことが気に入ってしまった。彼らともまたいつか会うことがあるだろうか。今回はカメラを持って行かなかったのだけど、そのことをあとになってからとても後悔した。残しておけたら良かったなと思った。だから代わりにせめて文書を残す。

あっという間に国境を超えて日本に帰ってきてしまったので道中なんだかセンチメンタルな気持ちになって、Mellow Colonyの音楽を聴きながらDanにお礼のメッセージを送った。またいつでもツアーを組むよと言ってくれて、じんわりした気持ちになりながらこういうひとに対してわたしはなにを還せるだろうかと考えた。そんなことをしていたらこれまでの色々のツアーの記憶が断片的に蘇ってきて、また会えたりきっともう会うことはないであろうひとたちのことを考えた。なんとなく、もう会うことはない、ということに対して不思議な気持ちを抱いていたけれど、でも考えてみたらまた会えることの方がむしろ不思議なのかもしれない。だけど会えることも会えないことも、絶対ということなくて、どちらの可能性だって常に等しく存在しているのだよな。また会えても会えなくても、みんな元気でいてほしいし、わたしもなるべく元気でいよう。