2025.06.02 そうして

そうしてわたしはきのうまた9時間かけて運転し東京までたどり着き、いまは千葉の新しい住処にいる。窓の外はすっかり夜になり、カーテンを閉めた。さみしい、とてもさみしい。そうかこれを、この気持ちをさみしいと呼ぶのだな、と思う。しかしそれは本当に不思議なことで、だってわたしは先月だってここでこうしてひとりで過ごしていたわけで、でもそのときとは違ってこんなにもはっきりとこの気持ちを感じている。小さいひとはどうしているだろうか。泣いていないだろうか、笑ってるといいな、と思う。

レンタカーで借りた今までに運転したことのない大きなワゴンに荷物を詰め込むのにずいぶん手間取り、あっという間に昼近くになってしまって、日差しの下荷物を持って石段をなん往復もしていたらみるみるうちにお腹が空いてしまったので結局早めのお昼ごはんをみんなで食べ、そうしていよいよ出発かと思ったところで小さなひとはわたしを引き留めおもちゃで遊ぼうと何度も誘った。のんちゃんがいい、と言うその様子を見ていたら涙が出てきて、そんな気はしていたけれどわたしはやっぱり泣いてしまって、泣きながら一緒にブロックで小さな家をつくった。車に乗り込む間際には姉も泣いていて、わたしはなんだかちょっとびっくりしてそういえば彼女の泣き顔をわたしはとても久しぶりに見た、と思った。そんなわたしたちをよそに小さなひとはにこにこ楽しそうにしていて、何度もハグをしてから車に乗り込み、わたしは「いってきます」と言ってアクセルを踏み込んだのだった。

長い長い夏休みのような日々だった。これ以上にないほどに愛おしい時間がたくさんたくさん詰まった日々だった。彼女たちのこれからが、美しく優しいものであるようにとただただ願い、祈る。