2023.01.15 気分とか言葉とか世界とかケーキとか交わりとか

この一週間ほどの間に24時間の断食を2回して、年明けすぐ以降お酒を飲んでいなかったので、きのう友達の家で久しぶりにアルコールを口にすればすぐにぐんぐんと頬が熱くなった。久しぶりの外出らしい外出で、久しぶりにちゃんとした服を着て身なりを整えて玄関を出た、しかし体調というか心身の感じは相変わらずでいまいち調子が出ないなぁなどと思いながら電車に揺られていればみるみる体調が悪くなってくるような心持ちでこれはやっぱり風邪かもしくはコロナで熱があるんではないだろうか友人の家には行かずに引き返した方がいいのではないだろうかみたいな気持ちになり、そんなことを思っていれば各停に乗らなくてはいけなかったのに急行に乗っていたことに気がついて慌てて引き返すなどしたが約束の時間には間に合わず、しかしそうして電車を降り外の空気を吸って友人の顔を見て言葉を交わせば気分はまったくいつも通りといったようすで、本当にこの全部はいったい何であろうか。

夕暮れ時の商店街にはたくさんひとが出ていてときどき通る車を避けながらわたしたちはカルディとスーパーとそれからケーキ屋さんに行ってあれこれを買い込み、駅から少し離れたところにある彼女のマンションまで歩いた。そんな気はしていたけれど、お酒を飲んでちまちまつまみなどを食べていればお腹はあっという間に膨れるので、結局買ってきた食材の半分も食べなかった。終わりの方はふたりでレコードを聴いて、わたしは一口も食べなかったケーキ(3つ買ったうちの2つ、苺のとチョコの)を持って終電近くになって家に帰った。

今日は朝起きてお酒が身体に残っていたのでああもうなにも食べたくないなにも要らない、昔は24時間365日ケーキが食べたかったし食べられたけれどさすがにもうそんな訳にはいかないななどと思っていたけれど、昼前と昼過ぎに一個ずつ(昼前に苺、昼過ぎにチョコ)をペロリペロリと平らげた。どちらもしっかりと甘く、こっくりとしたケーキだった。苺のケーキの名前はなんと言ったか、食べたことのない感じのケーキだった。ナポレオンと並んでショーウィンドウの中に陳列されておりナポレオンと迷ったのだけれどお店のひとにいまの季節のものですとお勧めされてそれを選んだ、でもやっぱりナポレオンにすれば良かったかなと、ひとりで行ったウラジオストクのカフェで食べた大きなナポレオンのことを思い出しながら思った。あのときは濃いコーヒーと一緒に食べたような気がするけれど今日はコーヒーをあまり飲む気持ちにならなくてルイボスティーを淹れた。胃がどーん、と沈むような感覚、が、しなくもないような気もするけれど気のせいかもしれない。

きのう朝起きると窓の外がめずらしく騒がしく、たくさんのひとの声となにやら機材っぽい音がしたので引っ越しかしらと思っていれば、クレーン車で5階の部屋の外から照明を当て、なにやら中で撮影をしているのらしかった。なるほどそうやって撮るのだななどと思い、そうして今日も撮影が継続されていて今日も少し賑やか。ときどき声が聴こえる。映画かしらドラマかしらなどと考えてみたところで、わたしには内容を知る由もなく、すぐ真隣で行われているにも関わらず、わたしの部屋の中のこの世界と、あちらの世界とはまったく切り離された別のもので別の時間が流れていて限りなく無関係なのだ、という事実とその奇妙さを思った。

今週はずっとこんな天気みたいなので今週もずっとこんな気分体調なのかもしれない。きのう分厚い灰色の雲が一直線に空を二分しているのを、商店街の建物の合間から見た。オーディオインターフェイスがとうやらダメになってしまったので逡巡の末新しいのを買った。今日か明日届く。今使っているのよりもひと回り大きく配線の位置も違うのでデスクのレイアウトを変えなくてはいけない。ひとの言葉はひとの言葉でしかない、まったく以て無責任に放たれる一過性の流動するそれらはしかしなんという強さを持っていることだろう、言葉って怖いなと今朝は思った、そしてそれをノートに書いた。わたしの人生を背負いその責任を取れるのはわたし以外にはあり得ず、だからこそわたしがわたしを生きなくてはいけないのだ、ということをそうして思って、それもノートに書いた。久しぶり開いたよしもとばななの小説に「今あるものが世界なのだ」と書いてあってその意味をこの数日ぼんやり考えている。

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