2022.03.28
桜が見たいなと思って、午前中に細々したことを片付けて、ノートと本と水筒と財布とカメラをバッグに入れて、郵便局にも寄ろうと思って郵便物を折れてしまわないようにノートの間に挟んだ。コートを羽織って玄関へ行き、靴の紐を結んでバッグを持ち上げるとなんだかひどく重たくて、ノートはまぁ使わないかな、と思って玄関の靴箱の上に置いて部屋を出た。駅の向こうの郵便局は混んでいて、わたしは列に並んで順番を待った。そうしてふと、玄関に置いてきたノートの間に郵便物を挟んでいたことに気づいて自分に呆れてほとんど笑ってしまいそうになりながら郵便局を出て駅に向かった。
最近仕事を辞めて毎日のんびりしていると言っていた地元の親友のひとりに連絡をすると出てきてくれるというので多摩川の駅で待ち合わせた。改札から出てきた彼女は大きなバギーのようなものを押していて、一瞬?と思ったけれど、中には彼女が飼っている二頭のシーズーが大人しく納まっていたのだった。去年末わたしが彼女の家に泊めてもらったとき彼らに初めて会っており、そのときぶりの再会だった。
階段を避けながらバギーを押して大きな公園の敷地内(初めて知ったのだけどそこはどうやら古墳の公園で、地図によれば実に8つもの古墳があるらしかった)や川沿いの道を歩いた。彼女は今日早い時間に中目黒に行くもものすごいひとですぐに帰ってきてしまったそうで、それと比べてまったく穏やかな多摩川に感動していた。犬たちも嬉しそうにちょこちょこと歩き回っていた。わたしは去年の今ごろ、ちょっと良い感じになった男のひとと同じ場所で桜を見ており、でも結局全然うまくいかなったそのことを桜を見てはうっすら思い出して、そこはかとない、なんというか、うぅ、という気持ちになっていたから今日同じ場所で彼女たちと桜を見て記憶の上書きができたからそのことを良かったと思った。ひとしきり歩き回ってそのまま今度は田園調布まで出て、駅前の犬連れでも大丈夫なカフェのテラスで一杯コーヒーを飲んで、風がすっかり冷たくなったころ店を出て駅で別れた。
彼女は長く会社勤めをしていて、月曜から金曜まで当たり前に働く生活をしていたから仕事を辞めて平日に出歩くようになって世の中には本当にいろんなひとがいるんだなと思ったと言っていて、別れ際わたしが「休日らしい良い休日だった」というと「平日だけどね」と言って笑っていた。こんなに近くにも、こんなにも違うひと同士がいて、それでもこんなに近くに当たり前に存在し合っている、ということをいまこれを書きながら思った。
きのうはゆっくり湯船に浸かってストレッチもして、気分も晴れていたからよく眠れるだろうと踏んでいたのになかなか寝付けず、でも根気強くじっと眠気を待って、今朝は割と苦なく起きることができた、のだけど、友達と別れたあとの帰りの電車で猛烈な眠気。この間なにかで過眠症という言葉を目にして、怖しいなと思った。拒食と過食を繰り返すように、わたしはいま不眠と過眠を繰り返しているのではないかという考えが頭をよぎった。今日は眠れるだろうか。以前友達がくれたよく眠れるアロマが良かったから同じのを探そうと思いながらいつも忘れて、ベッドに入ると思い出すのだけど、朝になるとまた忘れてしまう。
明日はまた郵便局に行かなくちゃ。