2026.09.28
ぼんやりした頭、これまでなんにんもなんにんもの手を渡ってきたであろうよれたビニール傘、帰りの駅に向かうとちゅうのカフェで本日のコーヒーとキャロットケーキ(ドリップはケーキセットにできませんがよろしいですか、なにならセットになるんですか、ドリップ以外ならぜんぶ、じゃぁ本日のコーヒーで)、うすい文庫本、折れ曲がったしおり、わたしの髪と肌から立ちのぼるわたしのではないにおい。
よく眠れないのはそこが自分の家ではないからか、それとも隣にひとがいるからか、だけど考えてみれば自分の家でも隣にひとがいるとぜんぜん眠れなかったことがある、途方にくれてすやすや眠っている横顔のその閉じたまぶたをしばらく眺めたり起こさないようになるべくそっとからだの向きを何度も変えたりあきらめて起き出してとつぜんなにかの料理をはじめたこともあった、そういう何度かを思い出す、眠れたこともあっただろうか、きっとあっただろうけれど思い出せない。覚えていない。
はやくどうでもよくなればいいのにと思っていたことが思いがけないかたちでどうでもよくなって、本意ではないが結果オーライ。もういい、ほんとうにもういいよ。勝手にしてくれよ。ほとんど見知らぬ土地の近くのコンビニで4個入りのキウイを買えばうち2つがだめになっていた。なんていう無駄な買いものだろうと思うけれどそれほど気にならないほとんどどうでもいい、なぜならそれはほとんど知らぬ土地の近くのコンビニだからで、いつも行く近所の八百屋やスーパーではないからなのだった。朝から小さなバゲット2切れにバターとジャムをつけてそうしてキャロットケーキまで食べて、ぼんやりした頭、どうでもいいことがどうでもよくなって本当によかった、このままさらさらどこまでもどうぞ流れていってください雨と一緒に川に海にどうぞ
そうして乗りなれない路線の電車に乗り込み耳慣れない名前の駅をいくつも過ぎる、過ぎる。わたしはもうずうっと何年もなんねんも東京にいるというのに知らない土地知らない場所知らない店ばかりで、それというのはわたしの怠惰なのだろうかだけどそうだとしてもだれに責められることもないのだ。なんだっていいよべつにそれより今日は荷づくりを終わらせてゆっくり湯船につかってよく眠る。忘れもののないように、だけど忘れたら忘れたでそれでも大丈夫。なにもかもぜんぶまあるくすっかりだいじょうぶ