2022.06.05 そして6月

スコーンやマフィンを焼くとき最近はいつも大豆粉、オートミール、煎りぬか、米粉、ごま、などを混ぜていたのだけどオートミールも煎りぬかも切れてしまい久しぶりに全粒粉を混ぜたら今日のスコーンはとてもスコーンらしいスコーンになった。小麦粉はやっぱり偉大。

ここ一年ほどは下北沢で友達に髪を切ってもらっていたのだけど、それまでずっとお世話になっていた表参道の美容師さんのところへ久しぶりに行ってきた。せっかく街に出るので、昼に渋谷で映画を一本(楽しみにしていた『C’mon C’mon』とても良かった。サントラもすごく良い)を観て、そうして天気が良かったから本当ーに久しぶりにキャットストリートを歩いた。時間には余裕があったからなにかが目についたらどこかにふらっと入って買い物をするのもたまにはいいかもしれないと思ったけれど、結局どこにも入らずただただ歩いているうちにあっという間に表参道に着いた。噂には聞いていたけれど空いたままになったテナントが散見されて、胃のあたりがぐーっと重たくなるような気持ちがした。

少し整える程度だったので美容室はあっという間に終わり、16時を過ぎても外はまだ昼間のように明るくて風が気持ち良くて、どうしようかなと思って、表参道にどこか寄りたいところはあっただろうかと考えたけれど頭の中を何周してもなにも思い浮かばず、表参道からだと乗り換えが面倒だからとりあえずまた渋谷まで戻ることにして、今度はキャットストリートより一本奥の道を歩いた。裏の道も空っぽのテナントが目立った。C’mon C’monのサントラを聴きながらふらふら歩いてるとTRUNK HOTELに行き当たった。わたしは以前原宿にある会社で働いていたことがあり、そのときTRUNKでイベントというかパーティーのようなことをしたことがあり、打ち合わせなどでもよく来ていた。懐かしいなと思って覗くと、オープンテラスの席がとても気持ちよさそうでそのまま吸い込まれ、コーヒーでも飲んでひと息つこうと思ったのに気づけばビールを頼んでいた。前日までの三日間とてもバタバタしており、でも無事にひとつ任務を終えたところだったのでそれを自分に許し、ショーケースに入っていたサーモンのフォカッチャも一緒に買ってテラスに出た。木漏れ日の下で心地よい風に当たりながら夕方前にひとり生ビールを飲むという贅沢。そうして調子に乗ってそのあとにコーヒーフロートまで飲み、ゆるゆると渋谷まで歩いた。

渋谷についてもまだ帰る気持ちにならなくてもう一本映画を観た。『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』。最近Netflixの『MAID』というドラマで主演を演じていた俳優さんが主演で、わたしは彼女のことがとても好きになっていたから彼女をスクリーンで観られるのは嬉しかった。邦題は”My Salinger Year”で、作家を志す彼女とサリンジャーとの緩やかな関わりが描かれていた。(だからタイトルにサリンジャーの名前が入っていることはとても重要なのにマイニューヨークダイアリーという凡庸極まりない的外れな邦題が付けられていることがとても悲しかった。)サリンジャーが彼女に「作家なら一日15分でもいいから毎日書きなさい、それが大事だ」ということを言うシーンがあって、”If you are a writer,”というその言葉が心に残った。

そうしてきのうはEmeraldとshowmoreのツーマンを観に代官山UNITへ。Emeraldの鍵盤のタツさんがこのライブを区切りにしばらく活動お休みということと、昔から親交の深い二組のツーマンもいうことが相まって終始あたたかく想いの溢れるライブだった。わたしはshowmoreのライブを久しぶりに観たけれど根津さんのMCがとてもよくて、そしてそこに連なる次の曲の歌い始めまでの流れにちょっと泣いた。わたしも、わたしは、歌を、歌わなくちゃ、と思った。