2023.03.07 立春

さみしいような切ないようなでもほっとしたような納得したようなわかっていたようななんかそんないろんな気持ちで、行ったり来たりして、何度も手を止めては窓の外をぼーっと見ていた。昼間少し外に出たら上着もマフラーも要らないあたたかさで、ああきのうが冬の最後の日だったのだなと思った。

会えなくなったひとのことを思うようにして来なかった未来のことを思う。自分には用意されていない未来を本当はわかっているけれど手を伸ばしてみたくなることってある。でもやっぱりそれが与えられることはなくて、ああやっぱりそうだよな、と思う、みたいなこと。心の内側がほんの少しだけ剥がれてほんの小さな音を立てるのを訊いた。引きずっていた過去からの連なりいくつかに立て続けに区切りがつき、ああなんとなくまっさらになってまた新しいなにかがそこに描かれるのだろうかそうだといいなと思う、春のいちばんはじめの日。